2014年の振り返り

● 歌評・歌集評を書くことが多かった

短歌や歌集の評を求められることが多い一年でした。同時に、普段から歌集を読み、評するちからを磨いておかなければと、振り返って反省することが多かった一年でもあります。

歌集を評するにあたって、同じ歌人の過去の著作をできるかぎり読むようにしていますが、これにはかなり苦労しました。古い歌集ほど入手は難しく、著作が多いほど費用もかかります。過去にどのような評価を受け、どこに課題があると指摘されてきたのかといった、著者周辺の文章となると、把握するにはさらに手間暇がかかります。

背景には、歌集の発行数が少ないことや贈答文化、評の依頼方法とその慣習が複雑に絡み合っているように感じます。同じ苦労を、将来の世代に引き継がないためにはどうすればいいのか、そんなことを時折考えました。

● 仕掛けと仕組み

前項のふつふつとした思いや、これまで短歌に関わるなかで感じてきたことが煮詰まって、短歌ポータルtankaful のリニューアルに繋がりました。とくに後先を考えずに、集中して改修作業にあたり、気がつけば原稿依頼を出していました。毎月の更新作業は、正直大変ではありますが、ひとつの「仕掛け」がやがて大きな「仕組み」となるよう、育てていければと思っています。

tankafulにて、「試験に出ない短歌の数字」という連載記事を始めました。内容は毎回、新人賞の応募数や結社の数などをかぞえて視覚化する、というものです。物事すべてが数字で測れるものではありませんが、「短歌人口が減っているようだ」や「若手が賞応募に増えているようだ」と感覚で話しているだけでは、何も変わらないように感じています。短歌の広がりや、若手の活躍は誰しもが願うことですが、その変化が測定できないのであれば、どんな取り組みも自己満足の範囲だ言われても仕方がないのではないでしょうか。

● 作歌ペースは昨年同様多かった

2014年に詠んだ歌は、現時点で掲載されていないものを含めると150首ほどになり、昨年同様の数となりました。結構大変で、毎回唸りながら詠んでいます。第2歌集『うづまき管だより』移行の短歌も300首以上溜まったことになりますので、そろそろ次の歌集について考えはじめることになりそうです。

● 「2014年にしたいこと」はできたのか

2013年の振り返りにおいて、2014年には「より多くの短歌評論が書かれるための環境づくり」と「より多くの人が短歌に触れるためのきっかけづくり」に取り組みたいと書きました。後者は、tankafulのリニューアルをきっかけに取り組み始められたと思っていますが、前者はまだ手付かずです。おそらくは、tankaful内での取り組みとなると思いますが、2015年は前者にも取り組めればと思っています。

● 2015年にしたいこと


・より多くの短歌評論が書かれるための環境づくり

前項に書いた通り、昨年の積み残しです。評論は書かれているのか、書かれていないのか。書かれているのに読まれていないのか。いろいろな意見があると思っています。いずれにせよ、評論を書く方の視点に立てば、資料の捜索や原著の確認など、地道で手間暇がかかることは多いはずです。その点を少しでも解消できればと思っています。

・短歌以外の分野での制作活動

普段、デザイン制作の仕事も行っていますので、今年は「書く」だけではなく「描く」ことでも、世の中に問えるものを多く産み出せればと思っています。どれだけ年をとっても、やってみたいことはやりたいし、行ってみたいところには行きたいものです。その気持ちは大切にしたいと思います。

・短歌について学ぶ

…毎年、頭の隅で思っていることですが。いいかげん付け焼き刃もしんどくなってきましたので、読むべきものを計画的に読むようにします。

2015年が実りのある一年となりますように。